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【プロが解説】デスクワークの腰痛、本当の原因は「座りすぎ」による深層筋にあった

  • 竜祐 久保田
  • 8月17日
  • 読了時間: 7分


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このような症状でお悩みではありませんか?


  • 長時間デスクワークをしていると、腰がズーンと重くなる

  • 夕方になると肩や首がガチガチに固まって、頭痛までしてくる

  • マッサージに行っても、その場は楽になるがすぐに元に戻ってしまう

  • 椅子から立ち上がる時に「イタタ…」と腰が伸びないことがある

  • 湿布や痛み止めが手放せない


そのお悩み、本当にお辛いですよね。多くの方が「職業病だから仕方ない」と諦めかけていますが、その痛みには必ず原因があります。この記事では、なぜあなたの腰痛や肩こりが改善しないのか、その本当の原因と根本的な解決策について、専門家の視点から分かりやすく解説していきます。


なぜ、その場しのぎの対処ではダメなのか?


多くの方が良かれと思って行っているマッサージや湿布。しかし、それだけでは根本的な解決に至らないケースがほとんどです。なぜなら、アプローチしている場所が違うからです。


マッサージが気持ちいいのに、すぐに症状が戻る理由


私たちの体を支える筋肉は、大きく分けて2種類あります。それは、体の表面近くにある「表層筋(アウターマッスル)」と、骨の近く、体の深層部にある「深層筋(インナーマッスル)」です。

一般的なマッサージは、この表層筋をほぐすことには非常に効果的です。しかし、長年の痛みの根本原因となっているのは、多くの場合、手では届かない奥深くにある深層筋の硬直です。

これは家のリフォームに似ています。壁紙(表層筋)を綺麗に張り替えても、その下にある土台(深層筋)が歪んでいては、またすぐに壁にヒビが入ってしまいますよね。長時間のデスクワークで悲鳴を上げているのは、まさにこの「土台」である深層筋なのです。深層にある体幹の安定筋が疲労すると、その不安定さを補うために、脊柱起立筋のような表層の大きな筋肉が過剰に頑張りすぎてしまいます。これが、ほぐしてもすぐに症状がぶり返す正体です。



Q. 湿布や痛み止めを使い続けるとどうなりますか?


A. あくまで感覚を麻痺させているだけで、根本原因は進行している可能性があります。

湿布や痛み止めは、一時的に痛みの信号をブロックしてくれる便利なものですが、これは火災報知器のベルだけを止めているような状態です。火元(痛みの原因)は消えておらず、むしろ見えないところで燃え広がっている可能性があります。

私たちの体は、長時間にわたって痛みの刺激を受け続けると、神経そのものが過敏になってしまうことがあります(末梢性感作・中枢性感作)。わずか15分間、腰を丸めて座っているだけでも、組織が刺激に過敏になることが研究で示されています 。こうなると、本来なら問題ないはずの小さな負担でも、脳が「大きな痛み」として認識してしまうのです。薬で感覚をごまかし続けることは、この負のスパイラルを加速させてしまう危険性をはらんでいます。



痛みの本当の黒幕「深層筋の硬さ」とは


では、なぜデスクワークを続けると、この重要な「深層筋」が硬くなってしまうのでしょうか。そのメカニズムを解剖学的な視点から見ていきましょう。


あなたの腰痛はどのタイプ?座位姿勢セルフチェック


長時間座ることが問題なのは間違いありませんが、特に「どう座っているか」が重要です。ご自身の普段の姿勢がどれに近いかチェックしてみてください。

  • 前傾姿勢

    • 特徴:パソコン画面を覗き込むように、顎が前に出ている。

    • リスク:背中の筋肉(脊柱起立筋)が常に緊張状態になり、筋疲労や張りを引き起こしやすい姿勢です 。


  • スランプ姿勢(猫背)

    • 特徴:背もたれに寄りかかり、骨盤が後ろに倒れて背中が丸まっている。

    • リスク:筋肉の活動は少ないため短期的には楽に感じますが、椎間板や靭帯といった組織への負担が著しく増大します 。これが最も危険な「 deceptiveに快適( deceptive comfort)」な状態です。


  • 直立姿勢

    • 特徴:骨盤を立て、背筋が自然に伸びている。

    • 推奨:深層筋である腹筋群が適度に働き、背骨への負担のバランスが良い姿勢です 。


多くの方が、楽に感じる「スランプ姿勢」を無意識にとってしまっています。この姿勢こそが、深層筋を静かに蝕んでいくのです。


深層筋が硬くなるメカニズム


私が多くの患者様を見てきた経験上、そして解剖学的な観点から見ても、デスクワークによる深層筋の硬直は、以下のプロセスで進行します。

  1. 血流の低下と代謝の停滞

    スランプ姿勢のように筋肉の活動が極端に少ない状態が続くと、筋肉への血流や酸素供給が低下し、代謝が停滞します。これは、筋肉にとって一種の"窒息状態"です。

  2. 筋肉の"サビつき"

    血流が滞ると、筋肉を構成するアクチンとミオシンという線維が正常に滑走できなくなり、「固着」したような状態になります。これにより、筋肉そのものが物理的に硬く(受動的筋硬度の上昇)、柔軟性を失ってしまうのです。

  3. 筋肉の"やせ衰え"

    さらに、この「使われない状態」が慢性化すると、体は「この筋肉は不要だ」と判断し、筋肉を分解し始めます。これを筋萎縮と呼びます。研究では、身体的な非活動性が、背骨を支える筋肉の断面積を減少させ、筋肉内に脂肪が蓄積する「脂肪浸潤」を引き起こすことが示されています。まさに「不使用と変性の悪循環」です。


このように、あなたの知らないうちに、背骨を支えるべき深層筋は、硬く、そして弱くなっているのです。


根本改善のために本当に必要なアプローチ


ここまでお読みいただき、なぜマッサージや湿布だけでは足りないのか、お分かりいただけたかと思います。根本的な改善のためには、手技では届かない体の奥深く、硬直してしまった深層筋に直接アプローチし、その機能を回復させる必要があります。

そこで当院が採用しているのが、特殊な高周波エネルギーを用いる「深層筋温熱療法(ラジオ波施術)」です。

これは、体の表面から温めるホットパックなどとは全く異なり、高周波エネルギーが体内の分子を振動させることで、深層筋そのものを内側から温める(深部加温)アプローチです。

この「深層筋温熱療法」によって、長時間のデスクワークで滞っていた深層部の血流を劇的に促進させ、"サビついて"しまった筋肉の柔軟性を取り戻し、長年の痛みの原因に直接アプローチすることが可能になります。私たちは、このアプローチこそが、諦めかけていたその痛みからの出口になると信じています。


まとめ


長時間のデスクワークによる腰痛や肩こりは、単なる「筋肉の疲れ」ではありません。それは、「座りすぎ」という静的な負荷が引き起こす、深層筋の血流不全、硬直、そして萎縮という深刻な身体の変化です。

  • その場しのぎのマッサージでは、根本原因である深層筋には届かない。

  • 楽に感じる「スランプ姿勢」こそが、深層筋の健康を静かに蝕んでいく。

  • 根本改善には、深層筋の血流を回復させ、柔軟性を取り戻すアプローチが不可欠。

もしあなたが長年の痛みから解放され、仕事や趣味に集中できる毎日を取り戻したいと本気で願うなら、一度ご相談ください。私たちは、あなたの「駆け込み寺」となる覚悟で、一人ひとりの身体と真摯に向き合います。



【関連ページ】



(この投稿は、以下の科学的知見を参考にしています。)

  1. 論文1: Perceived body discomfort and trunk muscle activity in three prolonged sitting postures. (2015).

    • (解説:前傾、スランプ、直立という3つの座位姿勢が、体幹の筋活動や不快感にどのような影響を与えるかを比較した研究。スランプ姿勢では筋活動が低い一方、前傾姿勢では脊柱起立筋の活動が高いことなどを報告しています。)


  2. 論文2: The Effect of Sitting Posture and Postural Activity on Low Back Muscle Stiffness. (2020).

    • (解説:長時間の座位が、筋肉の受動的な硬度(Stiffness)をどのように変化させるかを調査した研究。筋活動が少ない状態が続くと、筋肉自体の物理的な硬さが増加する可能性を示唆しています。)


  3. 論文3: Sitting for Too Long, Moving Too Little: Regular Muscle Contractions Prevent the Rise in Back Muscle Stiffness. (2021).

    • (解説:長時間動かずに座っていると背筋の硬度が上昇するが、定期的な筋収縮(運動)を取り入れることで、その硬度上昇が防げることを実証した研究です。)


  4. 論文4: Physical inactivity is associated with narrower lumbar intervertebral discs, high fat content of paraspinal muscles and low back pain and disability. (2015).

    • (解説:身体的な非活動性が、背骨周りの筋肉(傍脊柱筋)の脂肪含有量の増加や、腰痛・機能障害と関連していることを明らかにした研究です。)


  5. 論文5: Association between sedentary behavior and low back pain; A systematic review and meta-analysis. (2022).

    • (解説:過去の研究を統合的に分析し、座位行動(座りがちな生活習慣)と腰痛の発生との間に有意な関連があることを結論付けたメタアナリシス研究です。)


  6. 論文6: Sit-Stand Workstations and Impact on Low Back Discomfort: A Systematic Review and Meta-Analysis. (2018).

    • (解説:昇降式デスクの使用が、労働者の腰の不快感を統計的に有意に減少させることを、複数の研究結果を統合して示した研究です。頻繁な姿勢変更の重要性を裏付けています。)


 
 
 

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